ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
シゲが私を見下ろした。
「そんなことよりさ」
そんなこと? こんなに必死に隠してきたのに。そんなこと? それに告白されるってシゲにはその程度のことなの?
安心したような腹立たしいような、変な気持ちになる。
「それ、誰が知ってる? 付き合ってるのはふりだっていうのは」
「誰にも言ってない。私が純のこと知っちゃったのも偶然だし、受け入れない人もいるってわかってるし」
「誰にも? 友達とか家族とか、誰にも?」
「誰にも。純も、言ってないんだよね」
隣の純にも一応確認する。
「うん」
シゲが黙り込んだ後、純の肩をつかんで立たせた。
「古瀬。お前、結衣に何にもしてないって言わなかった?」
「してないよ! ほんとだから、ほんとにふりだから」
必死で純が言う。そこそんなに話しあわなくていいんだけど、二人で!
「本気で言ってんのか? 自分が何させてるかわかってないのか? お前以外の世界全部に、嘘つかせてるんだよ。それがどういうことかわかってんのか?」
違った。そういう男女の関係のことを話してるんじゃないんだ。
「シゲ、それはいいんだってば。元々私が言ったんだよ」
私が慌ててやめてもらおうとしても、ベンチに座ったまま立てないから迫力がない。