ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
でも逆にしゃがみこんで、シゲが私に話しかける。
「よくない。自分も周りも削られるんだって。言っただろ、嘘なんてつき始めたら重ねなきゃいけないし、わかんなくなってくるんだよ。
結衣。守にも言ってないんだろ? あんなに姉ちゃん思いな奴にまで嘘ついて暮らしていいわけ? いつまで嘘つくんだ? こいつが言う気にならなければ死ぬまで?」
「でも私のことじゃないから。純のことだから」
「お前のことだよ。お前がこいつと付き合ってたっていう、ずっと好きだったっていうお前自身の嘘だよ」
言ってから気づいたようで、気まずそうに視線を少しずらして付け加える。
「こないだ、俺、信じなくてごめん」
「もう終わったことなのに……今更、本当のこと言って、なんになるの」
「じゃあなんで、そんな顔してんだよ?」
ふりをしているだけ、恋人ごっこをしているだけ、そう思ってたし、それでいいと私は本当に思ってた。
別れたら終わるんだと思った。だけど、終わらなかった。
「だったら、なんて言えばいいの? そんなたいしたことじゃないはずだったのに。自分で言い出したことだったのに」
純が『元彼』になってから、事のいびつさに気付いた。
元彼と仲が良すぎてはいけないらしい。 だけど、純は親友だ。一番なんでも話せる友達なのに。
それに全く恋愛経験がないなんて今更言えないし、説明できない。だから恋愛には興味が薄いふりをした。また、ふり。
「ごめんって言えばいいんだよ、結衣。嘘ついててごめんって。守は言いふらしたりしない。わかってるだろ、そんなこと」