ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
純もまたベンチに座って、私の肩を抱いた。
「ごめん、結衣。ごめんね」
「離れろ。ムカつくんだよ」
「あ、ごめん」
シゲに謝って慌てて離れる。それからこっそり私の顔を見て微かに笑った。
「結衣、春ちゃんにも言ってないよな?」
シゲがしゃがみこんだままで聞く。言ってないよ。春ちゃんになんか言えるわけないし、純のことを話に出したことがない。
「お前、ずっと春ちゃんを好きだったよな?」
「結衣は東城くんを好きだったんだとずっと」
純がいいかけるけど、シゲは無視して声をかぶせて続けた。
「結衣、さっき思ったんだけど、春ちゃんのことも気づいてた?」
思わずぱっと目を上げる。うそでしょ、知ってるの? まさかね。
「病気のこと?」
「そっちはもう聞いただろ。今聞いてるのは、それじゃない。春ちゃんにも確認してない」
うそ。シゲがそんなことに気づくはずない。でも、それ以外考えられない。なんで? じっと見たけど、シゲは目をそらさない。
「春ちゃんも隠してるって、知ってたな?」
……うん、知ってた。
返事ができなくて、ただシゲを見つめる。ぼろぼろと涙があふれたのが、きっと答えになった。なんで、シゲが知ってるの?