ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

純もまたベンチに座って、私の肩を抱いた。


「ごめん、結衣。ごめんね」

「離れろ。ムカつくんだよ」

「あ、ごめん」


シゲに謝って慌てて離れる。それからこっそり私の顔を見て微かに笑った。






「結衣、春ちゃんにも言ってないよな?」


シゲがしゃがみこんだままで聞く。言ってないよ。春ちゃんになんか言えるわけないし、純のことを話に出したことがない。


「お前、ずっと春ちゃんを好きだったよな?」

「結衣は東城くんを好きだったんだとずっと」


純がいいかけるけど、シゲは無視して声をかぶせて続けた。


「結衣、さっき思ったんだけど、春ちゃんのことも気づいてた?」


思わずぱっと目を上げる。うそでしょ、知ってるの? まさかね。


「病気のこと?」

「そっちはもう聞いただろ。今聞いてるのは、それじゃない。春ちゃんにも確認してない」


うそ。シゲがそんなことに気づくはずない。でも、それ以外考えられない。なんで? じっと見たけど、シゲは目をそらさない。


「春ちゃんも隠してるって、知ってたな?」


……うん、知ってた。


返事ができなくて、ただシゲを見つめる。ぼろぼろと涙があふれたのが、きっと答えになった。なんで、シゲが知ってるの?

< 171 / 207 >

この作品をシェア

pagetop