ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
結衣、ごめんね。バカな僕は何年も君に守られることでのびのびと暮らしながら、どこかで東城くんのために君を守っているような自己満足をしていたんだ。僕にも君にも、彼以上に好きになれる人が見つかるまではこれでいいんだなんて。
でも、最初から最後まで、やっぱり僕だけが君に守られていた。守られながら、傷つけていた。君の大切な何年間かを、僕を守るための嘘で台無しにした。
東城くんに責められて、やっと自覚した。
ごめんね、結衣。謝っても時間は取り戻せないけど。
真っ白な羽を散らした鳥の絵を見た時から、でも本当は僕はわかっていたのかもしれない。
東城くんが色を決めたと君は言った。白い鳥に襲いかかるあの獰猛な鳥は僕なんだ。弱いふりをしているだけの僕なんだ。言わなくちゃ、言わなくちゃと思いつつ、結局怖くて、最後は君に言わせた。
本当に僕は臆病でずるいダメな奴なんだ。
君を深く理解している東城くんは今も本当にかっこよく、彼に選ばれる君はいつだって白く美しい。
こんな薄汚れた僕が、そんな君たちのそばに居られるはずはもうないと思ったんだあの夜、本当に。たとえ君がこれからもずっと親友だと、僕の一番欲しい言葉をくれても。
だけど、彼は言ってくれた。
「今後、結衣に絶対触るな。手もつなぐな。触ったらばらす」
「あと、結衣の弟にはお前から言え。ちょっとくらいは勇気だせよ。一緒に行ってやるから」
僕が君たちとつながり続けることを許してくれた。彼らしい率直な優しさで。