ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
足をくじいている君の家にお見舞いに行った。春にお別れして以来だから、半年ぶりくらいに部屋に入る。
いつも女子っぽく飾られている部屋が、今はあの額を中心にまとめられていた。相変わらずこういうことが上手い。
「僕ね、父親に言ったんだ」
「嘘でしょ!」
まだ何も説明してないのに、君は悲鳴に近い声を上げる。
「あ、そっちじゃないよ。うん、そういう話はまだできないけど。僕はファッション業界に興味があるってことをね。一度も言ったことがなかったから」
何も言わずにじっと、君は大きな目を開いて僕を見る。
「今まで描いたデザインも見せて真剣に話してみたけど、夢を見てるだけだって。だから、夢で終わらせないようにやってみたいって言った。モデルに誘われてる事務所、覚えてる? そこから始めてもいいかなって」
僕が親に盾突くことなんて一度もなかったことを、君は誰よりよく知ってる。
「大学は?」
「ちゃんと行くよ。でも、予備校に行くのをとりあえず待って欲しいって頼んだ。全然興味が持てないんだ」
「純、頑張ったんだね」
まだ何もしていないのにその評価はどうかと思うけれど、君はもう泣きそうな目をしている。
「僕さ、きっと結婚はできないから、せめて仕事は継がなくちゃと思ってたんだけど、違うのかなって今度のことで思って。嘘をついてるうちにわかんなくなるって、東城くんも言ってたけど」
彼の名前を出したとき、僕たちは微笑み合った。同じ人をずっと好きだったね。でももう僕はすっきりしたから。