ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
自転車で転んだ怪我は、打撲と軽い捻挫で済んだ。
でもついでに脇と背中の治りきらないあざも病院で見せたら、跡が残らないように治療が必要ということになった。
それからのお母さんの怒りようがすごかった。いつも割と笑ってやり過ごす母のどこに、こんな激しさが隠れていたのかと思うほどで。
あざのことを黙っていた私にもだけど、何より若い娘に跡が残るかもしれない怪我をさせて気づいてもいない父に怒りの矛先が向いていた。
男同士の小競り合いが今後も続くなら、結衣子を連れて別居するとたんかをきって、引く気配がない。
私と守は口を挟むこともできず、成り行きを見守ることにした。お父さんは一応折れつつもまだ虚勢を張っているけど、たぶん敵わない。
あれから毎日電話してくれるシゲにも話す。
『で、お父さんが折れそうなんだ?』
「折れてるんだけど、お母さんが納得してないみたいで、とことん謝らせるつもりらしいの」
『まあでも、別居にはならなそうで良かったな』
一部始終を聞いているシゲも安心したようだ。シゲの両親は離婚している。話ができる兄弟もいなくて、どうしてたんだろう、あの頃。
真央ちゃんが聞いてあげてたりしたのかなと、思い当たって胸が痛んだりする。
でも、何もかもばれてしまった今、私の心はだいぶ軽い。