ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

翌日、会社にシゲはいなかった。おじいさんに呼ばれて平井さんと二人で会いに行っているみたい。


会いたかったけど、どんな顔して会っていいのかわからない気もしてたから、こっそりほっとしながらPCで作業する。


綾さんと真央ちゃんにまた勝手に服をめくられて傷のチェックをされた後、無理しないで座っててと言ってもらってランチの準備は見ているだけでおしゃべりした。


胸のつかえが取れたからか、真央ちゃんとも嘘みたいに普通に楽しく話せた。


酔っ払った友達を迎えに行ったら、自転車がパンクしてこけた。そういう話がみんなに伝わっていた。


まあ、嘘ではない。


「結衣ちゃん、大丈夫? 災難だったね」

「シゲが気合い入れて自転車整備してたよ」


ランチ中にも、労りとからかいが混ざった暖かい声掛けに囲まれる。好きだなぁ、この場所。夏休みが終わっても、顔出せるかな。


どうせ夏休みだけってどこかで思ってたけど。続くように、つながれるように、私が諦めずに努力すればいいのかも。なんか手伝ってって、シゲも言ってくれてたんだから。
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