ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

「石川さんが言ってたやつ?」

「うん、でもあの白い鳥は雪に向かって落ちてくか、埋まってて見えないかなの」

「だったら渡ってる方は昼間がいいね」


尚人くんが提案する。確かに。暗い絵が並ぶより、最後は明るいイメージがいい。


「かもな。尚人描いといて。色調整は後でやろうぜ」


シゲが気軽に頼んで話は終わりになった。石川さんにも進捗具合を報告して、三枚組でも額のアレンジ考えてみてくださいと言っている。


尚人くんは、手元で早速楽しそうに下書きを始めた。




ほとんど話し合ってないんだけど、私の案でいいの?


「ぴんと来ないよなぁって話しててさ、結衣がなんか言い出したら乗ろうって決めてた」

「え、そういうの、プレッシャーなんだけど」

「いいって。一回死んだほうがいいんだろ」


シゲがあっさりと言うけれど、なんなの、その言い方。


うん、でもそうかな。一回リセットして、また始まるような気がする。


絵の話はそれでだいたい終わりで、あとは三人で雑談しながら行った。でも時々タブレットをやりとりして細かいことを言い合う。水族館の時とはちがうけど、やっぱり楽しい。

< 191 / 207 >

この作品をシェア

pagetop