ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
「都民の日なら、そっちは普通に学校でしょ。元気かどうか確かめたかったの」
「そっか。ありがと」
珍しく素直にお礼を言われた。
「いろいろ可能性を考えたけど、古瀬に好きだって電話で言ってるの聞いて、俺なにやってんのかなってイライラしたりもしてて。結局お前泣かしたり、あいつ殴ったり、的外れだったよなぁ」
純に好きなんて言った? 全然記憶にない。深い意味なんてないからだろう。
でもとにかく、シゲが助けてくれたんだ。お礼も言ってないと思い当たる。
「そんなことないよ。助けてくれて、ありがと。守にも二人で話しに来てくれたんでしょ」
純はすごくすっきりしたみたいな顔をしてて、やっぱり言ってよかったんだって思う。
シゲが無理やりにでも聞き出してくれなかったら、誰にも話すことができず、重苦しい気持ちのまま純と私も疎遠になっていったかもしれない。
「純はね、やりたいことちゃんとお父さんに話してみるとか言っててね、すごくいい感じなの」
「ほら、な? あいつの話してるときそういう顔するんだよ。何にもないとかわかるかよ、そんなの」
「え?」
「俺やっぱり、古瀬にも謝っとこうかな。俺が戻ってきたら言おうと思ってたんだってさ。感謝するべきだよなぁ」
一人で納得してるようだけど、なんだか話があちこち飛んでる気がしてよくわからない。
「シゲと付き合ってなんかないって、純は知ってたよ?」
また何を思ったのか、シゲは「あー」と変な声を出した。
「嘘とかほんと、つかない方がいいよなぁ」
「うん、そうだね」
それは本当に、と思って頷いたら「なんだよ素直じゃん」と面白そうに言われた。