ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
春ちゃんが入院している病院は、敷地が広く設備が整っていて広い庭もある。前のときもここだった。
目の前まで来ると、やっぱり怖いなぁ。高校の時も、抗がん剤治療の最中に来ちゃったときは、来なければ良かったと思うほどきつそうだった。
「薬終わってて、今日結構調子よさそうだって」
シゲが先回りして教えてくれた。足が動かなくなった私に気づいて、振り返ってまた手をつないでくれる。それでも足がすくむ。
少し黙ったシゲが、私の手を引いて病院の玄関から離れる。人気のない建物の横に回ってから聞かれる。
「怖い?」
「前に、本当に死んじゃいそうに見えたときがあったの」
「俺、やっぱりこのまま帰ろうかな」
大丈夫とか言ってくれるのかと思ったのに、なにそれ。信じられない思いで見たら、偉そうににやりと笑った。
「結衣のためなら行く。一緒に来てって言えよ」
「一人で来たことだってあるし、私は別に平気だけど」
「そうか。じゃあ俺はここで待ってる」
ぱっと手を離される。本気だ。なんで?