ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
久しぶりに会った春ちゃんは、病室の白いベッドに座って迎えてくれた。想像はしてたけど、また少しやつれた姿に目をそらしそうになるのをなんとか堪えた。
「やあ、お二人さん。久しぶり」
でも、いつもの春ちゃんだ。いつでも柔らかく、暖かい。やっぱり尚人くんなんか全然似てない。
「ほっそいな、春ちゃん」
「病人に言うことじゃないよ、シゲ。思ったより元気そうだね、って言うんだよ」
シゲの暴言にも春ちゃんは態度を崩さない。二人ともわざと明るくしてるんだ。
「思ったよりいいって喜んでたよ。ちゃんと説明してやってよ」
「ごめんな、結衣。だもんで心配かけたくなかったんだけど、逆に心配させてるって怒られたよ」
謝る春ちゃんから、病状の詳しいことを聞く。シゲはよく調べてて、ステージとか予後とか詳しいことをいろいろ聞いてた。本当に治る見込みが大きいようだ。
わたしは怖がってるだけで、そういうの確認したことない。
ああ、そうだった。この二人が話しているときは私は黙っててもいいんだった。この三人でいるのが、好きだった。
嬉しくて、さっきまでもやもやしてたのも忘れて、ベッド脇の椅子に座ったまま話してる二人を眺める。
「今日はおとなしいね、結衣?」
春ちゃんが私に目を向ける。
「三人でいるの、すごく久しぶりだから」