ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
「あー、来た来たこっち!」
愛華の声で顔を上げると、入口からこっちに歩いてくる男の子と目が合った。
「あれ、結衣も一緒?」
少し困ったような声で言いながらも、いつも通り穏やかな笑顔で歩いてくる。
やられた。
バカだった、私。全然予想してなかった、愛華がこう出てくるのを。
私が一瞬顔をしかめたのを見て、純の表情が曇る。そのまま私たちの席まで来てシゲを見つけると、予想通りの反応をした。
「東城くん?」
信じられない、でも嬉しい。そういうのが透けて見える顔。
そっとシゲの様子をうかがうと、にこりと笑いつつ、誰だったっけこいつというのが顔に出てる。
「結衣子の隣、座っていいよ。もしかして二人が会うのも久しぶり?」
愛華が明るく私の隣を示し、純はぎこちなく席に着きながら「どういうこと?」と私にこっそり聞いた。
それを無視して、少し前に乗り出してシゲに話しかけることにする。
とにかく私の隣にいる愛華の視界に純が入らないようにしないと。純は動揺を隠しきれそうにない。
「シゲ、覚えてる? 古瀬純」
「ああ、古瀬か。久しぶり。なんか雰囲気変わったな」
その瞬間、横を見なくても純の歓喜が伝わってきた。シゲに覚えてもらってる喜び。波動とか実際にあるなら、今そういうものが伝わってきてる。
純がキラキラしてる。どうか顔に出ちゃっていませんように、それ。