ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?



お店の外に出ながら、一番後ろで純にこっそり話しかける。


「大丈夫? 酔ってる?」

「酔ってるけど、平気」

「とにかく愛華が喜ぶようにして」

「でも」

「お願い」


それだけ言いながら、小走りに先に階段を降りた。






「みんなでカラオケ行こうよ!」


ご機嫌な愛華がみんなを誘う。


「ごめん、私はそろそろ帰るね。自転車で来てるし」

「えー、帰るの? たまには結衣子と歌いたかったのにー」


愛華は私がカラオケにはいつも付き合わないのを知ってるはず。


「うん、ごめんね。みんなで行ってきて」

と言いながら、純を見てうまくやってと目で訴える。


「悪い、俺も今日は帰る」


マイペースなシゲがやっぱり言う。そこにすかさず純が口を挟んだ。


「東城くん、愛華ちゃんを送って行ける? 僕はちょっと用事があるんだ」


いいアシストだ。ハートマークが浮かんじゃいそうな笑顔なのが気になるけど、ばれないよね。





対応が一瞬遅れたシゲに対して「ほんとにー?ありがとう、東城くん!」と愛華が腕を絡める。さすがだ。


シゲは断ることもできず、尚人くんに助けを求めるようなそぶりをしたけど、きれいに無視されて諦めたようだった。


「今日は楽しかった! またね、結衣子! 今度女子会しようね」


すっかりご機嫌になっている愛華がシゲを引っ張るようにして駅へ向かう。




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