ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
改札に消えた二人の後姿を見送ったところで、後ろから首に抱きつかれた。
「お疲れー、結衣」
「純もね」
拘束から抜け出しながら言う。くっつくな、酔っ払い。
「仲良いね」
尚人くんに声をかけられて、純が見るからに慌てた。
忘れてたな、この人の存在を。シゲに会ったからって舞い上がりすぎだよ。
「ずっと付き合ってたから、家族みたいなもんなの」
私は落ち着いて、用意してある説明をする。
純が高校卒業のときに『元彼』になってから、人前で会うのは初めてかもしれない。でも、もし二人でまた会ってるのを誰かに見られたらこう言おうって打ち合わせ済みだ。
「ふーん、そうなんだ」
面白そうに尚人くんがにやりと笑う。
純はうまく対応できないみたいで、居心地悪そうに私を引っ張った。
「結衣、自転車どこ? 漕ぐから二人乗りで帰ろうよ」
「ここじゃなくてシゲのうちのほうに置いてきたから。純は電車で帰って」
「東城くんのうちって? 今こっちのほう?」
そうか。純は後から来たから事情がよくわかってなかったんだ。だから送って行ってなんて簡単に言ったのか。