ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
「この近くのおじいちゃんちに住んでるんだって。でも純が気にすることないからね、知らなかったんだし、シゲが断らなかったんだし。ね、尚人くん?」
「そうだよ。いいんじゃないの。地元を久しぶりに見て来たら」
「地元はこっちなんじゃないかな。シゲは小学校はこの辺らしいよ」
シゲは中学の時だけ私たちの街に住んでいたはずだと思って訂正した。静岡と東京を行ったり来たりで、そのたび場所も変わり転校には慣れてるって昔言ってた。
「ああ、そんなこと言ってたかもなぁ。小学校の友達には会ったとか」
尚人くんの言葉に、純と私は目を見合せた。小学校の友達には会っても、中学の友達には連絡を取らなかったと、そういう優先順位。
「私が会ったのも偶然。純にも後で伝えようと思ってたよ。まずは愛華って思ったの」
「愛華ちゃんはご機嫌だったから、成功かな今日は」
「ありがと、純。巻き込んでごめんね」
駅前のキオスクで、息の匂いを消すタブレットを買って純に渡す。 家に帰る前にちゃんとアルコールが抜けるといいけど。
電車が行ったようなので、先に行った二人と鉢合わせしないのを確認して改札に純を押し込んだ。