ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?


シゲに会って嬉しさを隠しきれなかった純の恋愛対象は男。つまりゲイだ。


性同一性障害とは違って恋愛関係以外は普通に男なんだけど、一緒にいると純には女子っぽいところがあると思う。おしゃれが好きで、買い物好き。




純は、シゲを好きだった。 私だけがそれを知ってて、だからシゲがいなくなってもめてたあの頃、純は私を助けようとしてくれた。黙っていたことへのお返しのつもりだったんだろうと思ってる。


そして私たちは「付き合う」ことになり、中学終わりから高校三年間、仲のいいカップルとして知られていた。


「どちらかに他に好きな人ができたら別れる」そういう約束をしてたけど、純といるのは居心地が良くて、他の誰かと付き合う気にはならなかった。


人当たりがいいけど、自分が人にどう見られてるかを気にして、どこか気を張っている。私の前でだけはリラックスして毒舌気味になるのがおかしくて。本当の意味での親友だった。シゲみたいのじゃなくて。



きれいな顔だけど大人しくて注目されてなかった純は、高校で背が伸びて元々のセンスの良さも磨かれて、目立つ男の子の仲間入りをしていた。


びくびくしたところもなくなったからか、急に女の子にモテるようになった。


「結衣がいなかったら、性格悪そうな子と付き合って手酷く振ったりしてたかも」


と見た目に寄ってくる女子には実は厳しい。それでも外面はいいから、事情を知らない女子には「彼女を大事にしてる」と評価が高かった。




引っ込みがつかなくなっていたけれど、さすがに高校卒業のタイミングで別れることにした。


付き合ってるときはともかく、別れても仲良いことが知られてる人には、羨ましがられたり妬まれたりしてるみたい。




嘘と秘密で、ややこしくなってるよね。



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