ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?


お昼ごはんは来ている人で集まって、裏のダイニングでワイワイと話しながら食べている。六人掛けテーブルを二つ出して、食堂という雰囲気だ。


毎日のようにいるのは、二十代後半で独立してる人が多いみたい。シゲはほとんど聞き役なところは昔のまま。でも斜に構えてるんじゃなく、真ん中でかわいがられてる。


春ちゃんみたいな人がいっぱいできてシゲにとっては良かったんだなと思いつつ、それもちょっと寂しい。






食べながらそんなことを考えていたら、ちょうど春ちゃんからの電話が鳴った。


すごく珍しい、電話なんて!


音を立てるのも構わず立ち上がって、壁の方を向いて急いでスマホを耳に当てて小声で出る。


「もしもし?」

『結衣? 仕事中だったかな。今平気?』

「平気平気、今お昼食べてたの。どうしたの? 電話なんて珍しいよね!」

『昼頃かけたらシゲもいるのかなぁと思ってね。メールより少し話したいなって』

「いるいる! ちょっと待って」


振り向いたら「春ちゃん?」と聞かれ、すぐに近づいてきたシゲにスマホを取られた。


「春ちゃん? うん、久しぶり。そう、じいちゃんとこだよ。俺? そうかな、違う? 背も多少伸びたかな。ああ、結衣に聞いたか」


ちょっと!よく聞こえないんだけど! 


声が漏れてきて、声が低くなったとか言ってるみたいだけど、ちゃんと聞こえない。
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