ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
もうみんな行っちゃったかなと思って顔をあげたらシゲがいた。
「春ちゃんのこととか、いちいち尚人くんに言わなくてもいいのに」
そういえば愛華達と会った時も、春ちゃんに似てると言ったら私の好きなタイプかなと言われた。
「尚人くんて口が軽そうな感じするよね」
つい口を尖らせて言う。さっきの電話でなんとなくシゲと話しやすくなった気がする。
「うん、まあ。でもいいやつだよ」
シゲは否定はしないけど尚人くんをかばう感じだ。そうだね、仲良しだよね。
口が堅いのが私の長所だと思ってるけど、そんなのどうでもいいことかもしれないな。
「中学の時からって言ってた?」
急に何を言われたかわからなくて、シゲを見る。
「春ちゃんがいたのに?」
責めるようにまっすぐに疑問をぶつけられた。純のことだ。
「純は……春ちゃんに、似てるかも」
「あー、そうか、そうかもな」
シゲは小さくそう言って、表へのドアから出て行った。
せっかく春ちゃんとシゲと三人で話せたのに。春ちゃんのこと、もっと話したかったのに。怪しまれたよね。
そうか。あまり考えたことなかったけど、シゲから見れば不自然なんだ。あんなに好きだったはずの春ちゃんが、いたのに。
中三の春に、春ちゃんのことは完全に諦めてた。でもそのことはシゲには言わなかったかもしれない。
見せかけの親友だよね、もともと。私だって全部をシゲに話してたわけじゃない。