ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
次の日は、食材の買い出しに行ってから綾さんとダイニングでメニューを打ち合わせることになった。手書きで一週間の献立表をさらさらと書いていく。
「毎日何人来るかわからないから、食材適当に使いまわせるように一週間の献立決めてるの」
「難しそう、ですよ?」
「実家が大家族でお客さんも多くて、いつも大量に作ってたから自然とね。結衣ちゃんもお手伝いとかする方でしょ」
「うちは両親で会社やってるから、お昼とかは私が弟と食べる感じで。でも親子丼とか焼きそばとか、そんなのばっかり」
「あー弟いるんだ、わかる! しっかりしてるもんね」
イメージはそうらしくて時々言われるけど、あんまり役に立たないんだけどな、どこでも。
会社側のドアが開いてシゲと尚人くんが一緒に入ってきた。なにやってんの、と尚人くんに手元を覗き込まれる。
丸めた模造紙のような大きな紙を持ってるから何か打ち合わせるのかと思ったけど、座ったまま雑談し始めている。
「休憩なの? お茶入れるね」
綾さんが献立詳細を練り始めて手が空いたから、立ち上がって言ってみた。
昨日聞かれたことが気になって、シゲを見ないようにしたけど、
「結衣、コーヒーにしてよ」
とシゲの方は全くわだかまりがない感じ。どうせいつも気にしてるのは私だけだ。
「シゲは濃いと飲めないよ」と尚人くんが教えてくれたから、彼女か!と心の中で突っ込んだ。