ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
「水上と水中を分けたらいいのかも」
ふとイメージが浮かんで言った。鳥と魚が入り乱れる構図を想い描く。こんな風に、と空中に線を描いて説明する。
「ペンギンだけじゃなくて、水鳥が魚を捕食するのをいろいろ描くの」
「それ、ざっくりでいいからここに描いてみて」
シゲが小さなスケッチブックを出しながら私に言った。私が鉛筆で素案を描き始めてみる。
「へたでしょ」って言ったら、「そういうの関係ない」とやけに真面目な声で言って「面白いから描いてみて」と促された。
すぐに合流した尚人くんにも恥ずかしいけど見てもらって、ペンギンの動画も見せて、その場でもっとかっこいい図案にしてもらう。壁際に移動して並んで座りこみ、尚人くんを両側から挟み込んで、ああだこうだと口を出しながら何枚か描き直してもらった。
水平線を挟んだ空と海にシルエットの世界ができていた。水中を泳ぐペンギン以外に、空から水に飛び込むウミツバメ、空を飛び交う猛禽類など、いくつもの鳥たちが生きている。
魚じゃなくて、攻撃をかける鳥たちが主役。空が少し物足りなかったから、大型の鳥に捕まった鳥も加えた。
まだざっくりなので形は整えるだろうけど、単色でも生命の動きがわかるような華やかな図案だ。