ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
「別れたのってなんで? 今でも仲良さそうだよね?」
尚人くんの質問には、いつも通りの答えを返す。
「一緒にいすぎて友達みたいになっちゃったから」
「へえ、そんな風には見えなかったけど」
「ちょっと酔ってたからね。純は酒癖悪いから」
首に抱き着いてたことを言ってるんだろうと思って言い訳してみる。あれ、でも純が私を好きだと思われているほうが都合がいいのかな、この場合。
「そうか。今度俺も飲んで抱きつこう」
「ただのセクハラだよ、っていうか未成年なんだから飲んじゃだめだよ」
「俺四月生まれだから二十歳まで一年もないけど」
「シゲと一緒? 私なんて秋生まれだからまだ十八」
よし。とりあえず話題を逸らすことができた。
シゲの前で純の話はあまり続けたくない。もちろん純の秘密がばれないために、それからたぶん私自身のためにも。純が元彼だろうが今彼だろうが、シゲは興味がなさそうにしてるけどね。
シゲはずっと黙ったままなかなか考え事から戻ってこなくて、その後もさっきほどのご機嫌ではなさそうだった。
私はさっきの感動が続いてて、そういう話をしたかったけど、なんとなく愛想のないシゲ相手でそうもいかなかった。
シゲにとっては、人とこうやって一緒に盛り上がって何かを作ることは普通のことなのかな。
私はボロが出るのを気にしてるからか人とつながってる感じがすることなんて、めったにないから。一度上がった気分が下がると、結構ダメージがあるものだなぁと帰り道の自転車をまたこぎながら思う。
暑すぎてそのうち何も考えなくなれるのが救いだった。