ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
次の月曜日、会社に行くとディスプレイの中で色もつけられてもう図案が仕上がっていた。休みの日にもやって完成させちゃうんだ、すごい。
私が来るのを待っていてくれたらしく、平井さん、シゲ、尚人くん、私の四人でディスプレイを囲んで話し合う。
全体的に青にグレーがかった色合いで、空、海、動物たち、の順に濃い青になっていく。
翼を広げたタカに捕らえられた小さめの鳥だけが白い。真っ白に染められた鳥がもがいていて、目を引く。
白い羽が空に飛び散っていて、すごく綺麗だけどせつない。
へえ、さすが面白いこと思いつくなぁ。
きれいな色だったし結局私は言うべきことがそんなになく、「待っててもらってごめんね」と尚人くんに後で言った。
「色、あれでよかった?」
「うん、さすが尚人くん。白い鳥、すごくいいと思う」
「いや、色はシゲと手芸作家の人がほとんど考えてた。額に入れてネットで売るっていうけど、俺はそういうのよくわかんないし。壁のほうはペンキ混ぜて色作るかなぁ」
商品化するなんてすごいねと思いつつ、そうか、そういう仕事なんだって思った。
シゲはあくまで仕事として関わってる。部活の合同制作なんかとは違うんだ。当たり前なんだけど。
私一人が空回りしてるってわかってる。いつまでも諦め悪く、特別なポジションを得たいと思っている。中学生みたいに。