ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
翌日は結局昼からきて、綾さんに教わった作りおきできるおかずを作ってからお祝いパーティの準備を手伝うことになった。
うん、少しは役に立ってるかな。
「結衣?」
シゲが靴を脱いでダイニングに入ってきた。
「今日出られる?」
「うん、別に用があったわけじゃないし」
「そんなにしょっちゅう会ってんの?」
冷蔵庫からお茶を出しながら、いぶかし気に聞いてくる。
「友達に戻った感じだから、普通に仲良いだけだよ」
「……そういうのが普通だと思ってるんだ?」
どういう意味? とっさに言うべきことがわからなくなる。でもここで黙ったらダメだから、切り返す。
「普通じゃない? シゲは元カノとか全然会わないの?」
「いや、俺は別に」
なんとなく逃げ腰になったのを確認して、手元のニンジンを集中して切ってるふりをして下を向いたまま、口調だけは強気に出る。
「今は友達なの。むしろ親友っていうか。男女の友情だってあるでしょ」
言い切ってから手を止めて、パーティって何人ぐらいくるのとか何をするのとか、今日の話をこっちから聞いた。
そのうち平井さんがシゲを探しに来て、出て行くドアが閉まったのを聞いてから、ほっと息を吐いてしゃがみこむ。
あー、びっくりした。『そういうのが普通だと思ってる』ってなに。
でも別に何かに感づかれたわけじゃないよね? きっとすぐ忘れてくれる、大丈夫。