ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
「ごめんね、私のショップで売るのはおかしいのかなと思ったんだけど」
ファンの多いハンドメイド作家という肩書から想像した人よりもワーキングウーマンな見た目の石川さんは、何より先にまず謝ってくれる。
その件についてはシゲからも聞いていた。ハンドメイドの額を付けて彼女のネットショップで売るけれど、コラボレーションという形になるんだって。
遊びが仕事になることがあると聞いたのがこういう形なんだと驚いたし、商品に関われるなんてすごくうれしいから謝られる必要なんてどこにもない。
慌ててそう説明したら、「そう?よかった」とキリっとした顔を緩めて笑ってくれた。
すぐにシゲが他の人に呼ばれて行ったから、そのまま石川さんと二人で少し立ち話になる。
「よかった、結衣子ちゃんに会えて。あの東城くんが大事にしてる子ってどんな子かなって思ってたの」
「私ただの友達で、そういうんじゃないですよ」
またか、と思ってるのを悟られないようににこやかに答える。
「そうなの? でもきっと大事な友達だよ、彼にとっては。ただの恋愛にしちゃうにはもったいないような友情ってあるでしょ」
さらっと珍しいことを言われた。
「私にとってはそうですけど、シゲは大事な人が多いみたいだから」
投げやりに言ってから、失言だと思った。あまり関係ない人で、つい気が緩んだのかも。
「そう? ほんとに大事にできる人数なんて限られてると思うけど」
石川さんはにこっと笑って言ってくれる。
私が卑屈になってるの、きっとばれちゃった。
「予約結構入ってるの、これ。いいタイミングだし、期待しといて」
ここに集まる人達は、趣味と仕事がごっちゃになったような不思議な人ばかりだ。
ただの恋愛にしちゃうのはもったいないような友情、だって。
せめてそんな風に思ってくれてるならいいんだけどね。