ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
灰色の額は、自分の部屋の机の上に飾った。ずっと引き出しにしまってあった写真立ても出してみる。
三人で行った水族館で並んでとってもらった写真。夕方で、光の具合で映りは正直微妙なんだけど、嬉しそうな私、両側にシゲと春ちゃん。
三人とも見た目、変わっちゃったなぁ。一番変わらないのは、きっと私。
額の前に少し重なるように写真立てを並べた。三人揃うことはもうないのかな。
額の中の小さな絵を眺める。空中の白い鳥。
『これ、お前っぽいな』
そう言われた。飛んでいるところを捕まって、暴れて死にかけているこの鳥。これが私? 何考えてるの、シゲ。
階段を上る音がして、守が「姉ちゃん、ちょっといい?」と入ってきた。写真立ては額縁の裏に隠したから、見られなかったはず。
「山田精機に届け物した件で、親父がなんかぶつぶつ言ってるよ」
「お母さんが怒られてる? しかたなかったんだよ、急ぎだし。ていうか一ヶ月ぐらい前だけど、その話」
「俺がおじさん探してたのもなんかばれて怒ってるし」
「私行ったほうがいい?」
「たぶんね。俺も行くよ」
そうか、おじさんがらみの話が耳に入って機嫌が悪いのか。