ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
それでも、放課後の美術室に逃げ込むことはしなかった。
春ちゃんが特定の生徒と仲良いと叱られてるのを知ってたし、春ちゃんといるとシゲがいないことばかりを思い出すから。
昼休みにこっそり一人で美術室に入り込み、黒板に落書きをしていたことはあったけど。
小さな絵を一人で描いて、ますます寂しくなっていた。
追い込み時期の受験勉強は純と一緒にやって、同じ都立高校に進んだ。
付き合ってるという噂は途中から肯定することにした。そんなつもりじゃなかった純は戸惑っていたけれど、「その方がごちゃごちゃ言われないよ」と私が押し切ったんだ。
純はきっと、急にいなくなったりしない。純にとって私は特別な存在のはずだから。
だけど本当はわかってる。別にいつまでも私と付き合ってる必要なんかない。前に彼女はいたけど今はいない。それで純にはなんの問題もないだろう。
私はたぶん、純もいなくなるのが怖くて縛っているだけかもしれない。
もう中二じゃないけど。
高校生になっても私はこずるい女子で、自分のことばかりかわいいんだ。