ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

でも、シゲのことを言い出せない雰囲気がある。じゃあ私がどう思ってるのかなんて聞かれたら、困る。


いろいろ考えてちょっと口ごもっていたら、純のほうが口火を切った。


「結衣は今も東城くんが好きだよね」


聞いてくるどころじゃない。断定だ。


「何言ってるの、そんなこと言ってないでしょ」

「僕、本当のことを言わなくちゃと思ってるけど、もう少しだけ待ってくれる?ごめんね」

「言わせようなんて思ってないよ、私。告白するってこと?」


純は一人で決めているみたいでついていけない感じがする。恋人ができたのにシゲに告白するなんて意味不明じゃない?


「それもそうだけど。結衣に彼女のふりをしてもらってたってこと」

「言う必要ないよ? 何のために?」

「東城くんは本当のことを知るべきだよ。結衣は彼を裏切ってなんかいないのに、愛華ちゃんにあんな風に言われてさ、誤解してるよ」

「別にそう思われたっていいってば。シゲはそんなの何とも思ってないし、私だってなんでもないよ。ただ美術部みたいで楽しんでるだけなの」

「でも、僕は言うべきなんだよ」

「だから、シゲを好きだなんて言ってないってば!」



そのあとは、言わなくてもわかるとか、勝手に決めつけないでとか、どんどん言い合いになり最後はケンカ別れになった。




純とケンカなんてしたことがないのに。


なんか私、最近おかしい。




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