ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
九月が始まる。私の夏休みももうあと半分。あの絵は好評らしくて、平井さんが急にやる気になっている。
「また石川さんとやる? 尚人、結衣、石川さん、キーになるのは誰」
平井さんが冷静にシゲに質問するのが仕切り壁の向こうから聞こえてきた。裏の作業場で私と尚人くんが壁にペンキを塗ってるのはたぶん気づいてない。
尚人くんが唇に指を立てて、ニコッと笑って手を止めた。盗み聞きか、いいけど。
「誰っていうのは難しいですけど、石川さんが結衣を気に入ったみたいでまたやりたいって言ってます」
「なるほどね。お前から見て結衣ちゃんどう?」
「センスはあるけど努力が足りない。もったいないんですよね、いろいろ」
「尚人は?」
「尚人は商業系のコンテストも出してるし、勘がいいからリモートでもやってくれそうだけど、いるうちに動きたいかな」
「結局三人セットでもう一回ってことか。結衣ちゃんやる気出そう?」
「あいつやる気ないときでも面白いから、平気ですよ」
「お前ら、なんかなぁ……まぁいいや、とりあえずそれでいこう」
そのまま二人は別の話を始めて、私たちも黙々とペンキ塗りを続けた。
やる気ないときでも面白い。褒められているのかもしれないけど、なんだかね。
「また石川さんとやる? 尚人、結衣、石川さん、キーになるのは誰」
平井さんが冷静にシゲに質問するのが仕切り壁の向こうから聞こえてきた。裏の作業場で私と尚人くんが壁にペンキを塗ってるのはたぶん気づいてない。
尚人くんが唇に指を立てて、ニコッと笑って手を止めた。盗み聞きか、いいけど。
「誰っていうのは難しいですけど、石川さんが結衣を気に入ったみたいでまたやりたいって言ってます」
「なるほどね。お前から見て結衣ちゃんどう?」
「センスはあるけど努力が足りない。もったいないんですよね、いろいろ」
「尚人は?」
「尚人は商業系のコンテストも出してるし、勘がいいからリモートでもやってくれそうだけど、いるうちに動きたいかな」
「結局三人セットでもう一回ってことか。結衣ちゃんやる気出そう?」
「あいつやる気ないときでも面白いから、平気ですよ」
「お前ら、なんかなぁ……まぁいいや、とりあえずそれでいこう」
そのまま二人は別の話を始めて、私たちも黙々とペンキ塗りを続けた。
やる気ないときでも面白い。褒められているのかもしれないけど、なんだかね。