ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?


「ああいうの、前にもやったことあるんでしょ?」


しばらくしてから尚人くんに聞かれた。


「中学でも美術部でいつも合同制作してたの。シゲはいつも仕切ってたよ」

「結衣がデザインしてた?」

「そんなこともなかったけど。シゲが気にいると進む感じだったかな」


好き勝手にやってるようでいて、いつの間にか皆乗せられてシゲと春ちゃんの思惑で動かされる感じだった。なんなんだろう、あれ。


「だもんでシゲは高校でもやってたよ。結衣のこともその時言ってた。面白い子がいたって」


ふーん。過去形。いろんな人たちに出会ってくシゲの思い出の一コマ。また偶然出会えば一緒に何かやって楽しんだりできる。


面白い。でも、それだけでしょ?

「結衣?」

「あ、ごめんなんだっけ」

「俺変なこと言った?」

「ううん、なんでもない」


おかしいな。クールな振りが最近あまりうまくいかない。


< 96 / 207 >

この作品をシェア

pagetop