ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
綾さんは仕事はきっちりしてるのに天然というか、どこから突っ込んでいいのかわからない時がある。
余計なことを考え始めたのか止まってしまった手からマウスを奪って、リンクをクリックした。難しいな、法律関係。
「シゲは四年間音信不通の薄情なやつだから、綾さんが思ってるような感じじゃないですよ」
一応訂正しておくことにする。普段はスルーしてるけど、綾さんは勘違いがいろいろ激しすぎる。
「そこやっぱり気にしてるんだぁ」
「気にするっていうか、事実ですから」
「だってさ、シゲ」
綾さんの言葉に反応して顔を向けたら、いつの間にかシゲが横に来ていた。
「知ってますよ」
綾さんに小さく答えてから「石川さんのアトリエ行くことになったから。今度の金曜」と同じ調子でつぶやく。
私に言ってるのか一瞬判断できないうちにまたすーっと移動して、もう他の人に話し掛けてる。