イビツな花火〜my story〜
「今晩9時からやるドラマとか見てよ!
あれみんな見てるからね。亜由菜くらいだよ見てねぇの。そしたら一つは話しが合うじゃん!」





人気の恋愛ドラマは学校でも話題で、クラス中が明日はその話でもちきりだ。
もちろん麻耶もみぃも。
主演の◯◯がカッコイイとか、あんな恋愛したいだとか…。



わたしは興味がないから見ていないだけ。
話しを合わせるためだけに見るなんて最高につまらないもん。
でも…話しが合えば浮気や心変わりされないのかな?



浮気なんて、それこそドラマや映画の話だと思ってた。



「見れたら見てみるよ…」


「俺はさ、亜由菜がいるから安心して浮気できるんだからね。」




こう君は可哀想。
わたしじゃなきゃ、きっと誰とも付き合っていけない。




だからってこんなに言われて傷ついて…
それでもこう君が好き?寂しいだけ?


好きってなんだろう。
一緒にいたいってどんな感じだっけ?


自問自答して答えをさがそうとするけど、決めきれないのはわたしが弱いから。




「より戻すかどうするかの返事は…まだできない…ごめん。」




「はっ?亜由菜に決める権利ないから。
亜由菜は俺のだから。わかった?
明日も同じように頼むね!」




「でも……。
とりあえず今日は帰るね。」




文句をいいつつ買ってきた夕飯をペロリと食べたこう君は、帰るわたしの背中に言った。



「亜由菜、愛してるよ」



好きだったのは確かで、恋をしたのも確かなこと。
だから切ないんだ。




「うん…。」





見送りなんてないのもいつものこと。
すっかり暗くなった道を家へ向かって歩いていく。



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