イビツな花火〜my story〜
フッって顔を背けて笑うその仕草。


「お前こそ、なんで挙動不振なんだよ。
不振者かと思った」



失礼な発言も…
無表情なところも…
綺麗な横顔も…



昨日のまま…




「誰かいるから、帰ろうかどうしようか迷ってたのぉ〜!
りゅう君はなんでここにいるの?
智也達と待ち合わせ?」




「違うよ。なんとなく…
星が綺麗だって聞いたけど、全然じゃん」



昨日言ったこと…
ちゃんと聞いてたんだ。




「あっ…だ、だってこんなに曇ってたら見えないよぉ〜。星…好きなの?」




「別に…。」




「別になに?」




「別に好きでもないし、嫌いでもない」




相変わらず無表情なまま空を見ているりゅう君の不思議な雰囲気にのまれて、聞きたい事が聞けない。




あなたはなぜこの公園に来たのですか?





「ブランコ乗らねぇの?」





「えっ…なんで知って……
あっ!昨日わたし言ったっけ?ブランコ好きって」






「言ってたよ。
子供みたいだなって思ったし」




「子供じゃない!へぇ〜だけで済まされたから聞いてないのかと思ったっ」





わたしはブランコに乗って小さく揺れた。真正面には安全柵に座るりゅう君。



りゅう君と同じようにわたしも空を見上げた。

雲がゆっくり滲んでいく。
大好きだった彼氏はわたしの事を、
きっと好きではない。
最初からそうだったのかな…
気がついてしまった今、どう向き合えばいい?
こう君への気持ちが無くなったわけじゃないから余計に悲しいんだ。




「なんかあったの?」




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