イビツな花火〜my story〜
「りゅう君はさ、今日やる連ドラ見てる?」




寒空の下待ち合わせして会ったかのように自然に話し始める2人。



「録画してる」



「やっぱり見てるんだねぇ。
みんな見てるもんねぇ〜…面白い?」




「ん…まぁまぁ。」



「そっかぁ…わたし見てないんだぁ〜」




「へぇ〜」




「りゅう君、趣味とかある?」



「趣味?特にない…」




「ない?!ならわたしと一緒だね♡
あつ…でも…強いて言うなら恋愛かなぁ♡毎日好きな人のこと考えてぇ♡毎分想って過ごしたい。あっ!趣味って言わないかぁ〜♡」




「へぇ〜…」




「興味無さそうな返事〜。」



何を考えているのかわからなくて
表情もないからりゅう君の気持ちがこれっぽっちも読めなくて…
ただ一つだけ。
”面白い”って言ってくれるから、こんなにも自分の事を話せているんだと思う。



「いや…へぇ〜なんか凄いな。ってこと。」





「へぇ〜の後があるのとないのとでは全然違うからね!」




「わかるかなと思ってさ…」




「わかるわけないでしょぉ〜!
思った事、声に出さなきゃ伝わらないよ♡」




「………」




無言のりゅう君を見て
昨日会ったばかりなのに自分の考えを言い過ぎたかな…って反省した。




「ごめん…わたし、なんか色々言っちゃって…」





それまで静かに空を見ていた
りゅう君は突然わたしをジッと見つめた。



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