イビツな花火〜my story〜
「あはははは〜♡う…うん……」




「なんで笑うんだよ…」


そう言ってりゅう君は顔を背けた。





照れ隠しだよ。
こんな雰囲気どうしたらいいかわからないもん。
ドキドキして、いちいち言葉に詰まって。
笑うことしか
反応の仕方知らないんだもん。







ソワソワしているのはわたしだけみたいで、りゅう君は相変わらず表情一つ変えず遠くを見ている。




そんな空気を一瞬で変えたのは
わたしの携帯電話の着信。


画面には
”着信 ママ”の表示。




「ヤバっ…門限!!」



わたしの門限は20時。
こう君と付き合う前は門限なんて無かった。
こう君と付き合ってからわたしは
こう君に合わせて夜中まで遊び回ったり、それまでの規則的な生活が180度変わっていった。
それが原因で父とは険悪な関係になって、門限も20時なんて決められた。
納得行かないけど1分でも遅れたら恐ろしいほどのお説教とビンタが待っているだろう…。


20時という門限もこう君にとっては気に入らないみたいで
”つまらねぇ女”
そう言われたのを覚えている。

つまらない女になりたくなくて、
門限を破った日…それはそれはとんでもないお説教が待っていた。
それ以来イヤイヤ守っている門限…
その門限まであと1分…。





「もしもし…」


恐る恐る電話に出た。



「なにやってんの!今どこ?
またパパに怒られるよ!」





「近所の公園にいるから大丈夫だよ〜!」



「大丈夫って、もう門限だよ?!
あと20秒で帰って来れるわけ?」



「だ、か、ら〜話してたら時間気がつかなかったの〜まだ話し終わらないんだからたまにはいいじゃん!」




「ダメに決まってるでしょ!またお説教だよ!パパ帰ってこないうちに帰って来なさい!」




「こう君といるわけじゃないんだから
いいじゃん!」




「誰といようが門限は門限だよ!
早く帰って来なさい!」




「やだ!ママはちゃんと恋愛した事ないから失恋したり色々な気持ちがわからないんだよ!」




「バカみたいな事言ってなくていいから
早く帰って来なさい。」




プーップーッ……




携帯電話をもつ手がガクッと落ちて下を向いた。



なんだかんだ言い訳してみたけど、
ただ…まだここでりゅう君と話しをしていたかっただけなんだ。


せっかく色々話せていたところなのに…
結局わたしは”つまらない女”なんだ。




「帰れよ…!」


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