イビツな花火〜my story〜
「そ…そうなの?なら一人で…?」



中途半端に聞いた情報のせいで
どう反応したらいいのかわからない。



「んなわけ!じぃちゃんばぁちゃんと暮らしてる」



「そうなんだ…おじいちゃんおばあちゃんって優しくていいよね♡うちも、おじいちゃんすっごい優しくていつも助けてもらってるよ♡」



「うちのばぁちゃん、マジで怖いよ!
あれは最強だと思う!」



聞きたいことはたくさんあって…
でもどこまで踏み込んでいいのかわからないのは、りゅう君が放つ雰囲気のせい。
でも少しずつ…少しずつでいいから心を見せてほしいって思った。




「なら早く帰らなきゃ!送ってる場合じゃないよ!?」



「別にいいよ。」




「人には早く帰れって言うくせに…」





「お前送ったらすぐ帰るから。」




「てか、何か用事があったんじゃないの?もういいの?」




「うん、もういい。」




わたしより少しだけ上にある横顔を見つめたら、昨日とは違う柔らかい表情な気がして…こんな表情もするんだなって。
また一つりゅう君を知った気がした。




「あ〜あ。家帰ったら軽いお説教。
明日はまたこう君の家に行かなきゃだし…返事もちゃんとしないといけないし…
憂鬱だなぁ〜。」






「お前がより戻そうとしてる奴…
多分、1.2回遊んだ事ある気がする。
光輝(こうき)って名前?」




「えっーー!そうそう!金髪でガタイの良い!」




「ぁあ。やっぱり…お前の話聞いて、名前聞いたらなんとなく浮かんだ。前の学校の時友達がそいつと知り合いで、会ったことあるよ。」




「仲良いの?今も連絡取ったりする?
会った時どんな感じの人だった?女関係とかは?」




ついつい…やってしまった。
すごい勢いで質問攻め。





りゅう君は無表情のまま…


「数回友達とか大勢で遊んだ時にいただけだから…わかんねぇ。」




声のトーンが下がった気がして夜道にボソッと言葉が落ちたみたい。





「……ごめんね。質問攻めして。」




なんとなく嫌な雰囲気が2人を包んだ。




「わたし…より戻したいとか思ってない…から…」





なんでだろうね。
伝えたかったんだ…りゅう君に。
まだこう君への気持ち、はっきりしてないのに。

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