ふたりだけのアクアリウム
1 チョコレートの行方
暗闇の中、ひとりで眠る。
ひとりでいるのはもう慣れたけど、それでもやっぱり寂しくなる。
だけど自分から連絡なんて出来なくて。
どうしたらいいのか分からなくなって。
頭がこんがらがる。
息は出来るけど、息苦しい。
酸素が身体のどこかで止まってしまって、供給されなくなって、胸が張り裂けそうなくらい痛くなる時がある。
チカチカと見える、スマートフォンの頼りない光。
私にはそれが死ぬ間際のホタルの光に見えてしまって、じわりと涙が滲みそうになった。
「会いたい」って言っちゃいけない相手。
そうだと知ったのは数ヶ月ほど前のことだった。
そんなこととはつゆ知らず、「帰らないで」とか「泊まっていけばいいのに」なんて繰り返していたあの頃が懐かしい。
幾重にも重なった思い出が朧気に揺れて、サラサラと砂みたいに冷たい床に落ちていく気がした。
強くならなくちゃね、と思う。
強くなって、私はひとりでも平気よと胸を張って言えるくらい自立した女になるんだ。
誓いを立ててはぐらついて、細い細い一本の綱をケンケンと片足で跳びながら渡るくらいの、ほとんど落ちるのは確定って程の危うさで、かろうじてこの場に持ちこたえているような状況だった。
そんな夜を、あれから毎晩過ごしている。
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