ふたりだけのアクアリウム


家に帰って、買ってきたチャームをバッグにつけたら、一気に冬仕様になった。
恐るべし、ファー小物。
そして迷うことなく買ってしまった私、完全に乙女化。


熱帯魚にエサをあげて、ぼんやり水槽を眺めた。


恋愛はタイミングだと茅子さんは言ってたけど、テレビドラマか何かで「結婚はタイミングだ」みたいなことも聞いたことがある気がした。

それと似たようなこと?

踏み出すのが早いか遅いかで、うまくいくか失敗するかも決まるってこと?


連絡するにしても、何時頃電話しよう?
こんな時、アドレスとかラインの交換をしていれば良かったなって後悔する。
番号だけじゃ、相手の都合もうかがえない。


エアコンを入れて暖かくなり始めた部屋で、色々考え事をしているうちにウトウトしてしまった。

そうして、お昼ご飯も食べないままゴロンと横になって眠ってしまったのだった━━━━━。










次に目を覚ましたのは、完全に日も暮れて、むしろ夜も深くなり始めた時だった。

カーテンは開けっ放し、電気もつけていない真っ暗な部屋で目を覚まし、ひっくり返った声で「あれっ?」とつぶやく。

ガバッと勢いよく起きて、寝てしまったのだと気がついた。


急いでカーテンを閉めて電気をつけ、時計を確認するともうすでに夜の10時。


し、し、しまった。やってしまった!


これから会う約束なんて取り付けるのは微妙な時間帯になってしまっていて、焦る反面やけに頭の中だけが澄み渡ったみたいにスッキリしていた。
それはきっと、よく寝たからだ。


「あーーーもう、本当にバカッ」


大事な大事な告白を、世間の浮かれたクリスマスイブなんていうイベントに乗っけて考えるからこうなるんだ。

ガッカリしながら水槽に目を向けて、ふと止まる。


………………なんか、変。


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