月明かりの子守唄
「ちっ」


今度こそ気付かれてしまったし、彼は驚きこそしたけれど、私にかまっている余裕はないのだろう。

こちらには見向きもしないでゾンビにお構いなしに発砲をしだした……のだけど、

確かに弾は出ているのに派手な発砲音はしない。ああ、そういう拳銃もあるのかな?


でもこういうのってゾンビに通用するのだろうか。そんな疑問は見事に的中。

やっぱりあまり効いていないようだった。

それなのに小さなダメージを続ければ大ダメージになる、とでも思っているのか何なのかは分からないけれど、攻撃は続く。

早く帰らなければならないことなんてすぐに忘れてしまっていた。

彼が気になってしまっていたから。私には何も出来ないのは分かっているのに、一人には出来なかったし。
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