明日を想う ~アスオモイ~
「そ、れは…」

「佑香ちゃんの記憶がなくなる頃には、俺の記憶は戻っていた。俺の親は佑香ちゃんに刺激を与えない方がいいと思い、離れた。親の転勤もあったしね。
その後、高校生になって戻ってきて、街中、学校中、佑香ちゃんを探した。 そのときに会ったのは、まるで感情をなくした君だったよ。俺は、違ってたら嫌だし 声を掛けれなかった。 ただ、いつも、ずっと、目で追うだけだった。」

「そ、んなことが…。」

今は頭が大変なことになってるけど…。

なんであきくんが私を探してるのかは分からないし

なんで、記憶をなくしていたのかも分からないけど、

今気づいた。さっき夢にみた小さな男の子。

”あきくん”と私は呼んでいた。

少しだけ、ほわっと明るい思い出がまだ残っている。

ここにいるあきくんはきっと私の初恋の相手なんだろう。

「うん、だからね?断られちゃ、俺の努力が水の泡になっちゃう…。」

「で、でも、……。明日には覚えてない。よ?」

「いーの、それで。」
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