しずく

出会い

今日も朝から満員電車に乗って通学する。
あたしは、ぼーっと外を眺めていた


今日も……雨。


彼女の命日は決まって雨が降っているような気がする。



--彼女、雫はあたしの姉で、10年前の今日、急な事故で亡くなってしまった。
その時のあたしはまだ小学生で何にも解らなかったし、正直彼女の事は、にこにこして活発に動く人だった事以外にはあまり覚えていない。

亡くなったのは17歳の時

……今のあたしと同じ歳。


両親は彼女の事をずっと忘れられないままのようだった。彼女の部屋は今もそのまま。誕生日にはケーキを食べるし、命日には必ずみんなでお墓に行く。あたしは別に悲しくもなかったし、めんどくさくもなかった。ただ、何も考えずに家族としてそこにいた。

あたしが高校に進学する時に選んだ高校は、たまたま姉が通ってた高校だった。

「雫の分まで楽しんでね?絶対卒業してあげて。」

あたしが合格通知をみせた時、母が泣きながら言った。



雨の景色を見つめて、サラリーマンにはさまれながら、ぼんやりと思い出した。
あたしが、もし死んだらみんなにそんな思いをさせる事ができるだろうか?





正直自信が無い。
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