サプライズ★フィナーレ
……今の何?

…………まさかね、考えすぎ。


「愛梨、一緒に夕飯作らない? 色々買ってきたんだ」


翔輝君の誘いに、私よりも早く翼の声が、後ろから響いてきた。


「久しぶりに、愛梨のオッソブーコ食べたい!」


無邪気な催促に翔輝君は、とても優しい目を翼に向け、目尻を下げて笑い出した。


「仔牛なんて普通、買うわけないよ。ねぇ? 」


「買ってよ! オッソブーコっていったら、リゾットアッラミラネーゼも食べたくなる」


翔輝君の同意を求める声に頷くと、すぐに弾けるように、翼が返した。

オッソブーコとは、香味野菜と一緒に仔牛の骨付きスネ肉を、白ワインやトマト、ローリエと煮込んだ物。

サフランで黄金色に着色したリゾットアッラミラネーゼを、付け合わせにするミラノの郷土料理である。

翼と翔の大好物で、私がまだ十代の頃、一番初めにお母さんから教えてもらった、思い出深い料理でもある。








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