サプライズ★フィナーレ
「ついに二人、兄妹ってバレたじゃん。葬儀後から玉の輿争奪戦、凄まじいことになっててさ」


「黙ってろ!」


翔の低い凄味のある声にも、全く動じない翔輝君は、ニヤニヤしまくり。

そっか、ついに櫻木の娘ってことバレたのね。

そんなこと気付く余裕もなかった。

また面倒なことになりそう。


「隠す必要ないでしょ? むしろ愛梨は、知っといた方がいいよ。きっと手のひら返したように猫撫で声で、愛梨にすり寄って来る子いるんじゃない?」


そうよね……
もう会社行きたくないな……って、私の籍ってまだある?

お父さんの会社でなかったら、確実にクビ。

翼にも色々迷惑掛けたに違いない。

……落ちる。

まだきちんと謝ってもいない。

ほんと私って窮地に追いやられると、自分以外のことは、どうでもよくなってしまうから。

そんなまま気が付けば二十七で、こんな子供のまま三十になってしまいそうで怖い。
< 123 / 558 >

この作品をシェア

pagetop