サプライズ★フィナーレ
翔は、黙って根気よく待ってくれるけれど、私は一向に言葉が出て来ない。


「……寿司旨いから食えよ」


翔は、そんな私にフッと笑い、そのまま部屋から出て行ってしまった。

はぁ……疲れた。

そんな私の隣で、翔輝君はクスリ笑い。


「きっと愛梨の好きな寿司屋で、好きなネタ満載だよ。……本当に優しいよね、翔は。ここ数年、やっと落ち着いてきたよね。……二十歳の頃は、マジ心配したけど、あの愛梨の大爆発が項を奏して、荒れ狂う嵐の中から少しずつ脱け出し始めたんだ。長い道程だったけど、やっと少しずつ本来の翔に戻ってきてるんじゃないかな。……あの頃は、翔も俺も暗闇の真っ只中でもがき続けてたからね。でも俺も自分のことだけで精一杯で、何もしてやれなかった。……ただ二人で、同じ痛みを共有してただけだった」


えっ!? そうなの?

翔輝君もだなんて知らなかった。

翼からも聞いてない。

ただ『二人共反抗期まで揃って……』って笑ってたけど、私には少し無愛想にしか見えなかった。

あの頃は、今みたいにしょっちゅう一緒でなかったしね。
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