サプライズ★フィナーレ
私は、すぐさまタクシーに乗り込み、オフィスのタワービルに向かってもらった。

五分ほどで到着して翔のオフィスを見上げると、翔の部屋だけに明かりが灯っている。

私は、迷いなくタクシーから降り立ち、玄関の階段を一段飛ばしで掛け上がった。

そしてはやる気持ちを抑えながら、エレベーターで一気に翔の階に上がって行く。

いつもは、あたたかな灯りで迎えてくれるアットホームなエントランスも、すっかり灯りは消えていた。

そんなひっそりとした薄暗闇の中、少し緊張気味にインターホンを押すと、数十秒後に翔の怪訝な声が返ってくる。


「……私……愛梨」


名乗って数秒後、勢いよくドアの開く音がすると、驚愕した翔が走って現れた。

そして慌てて鍵を開けてくれる。


「何で……何やってんだよ?」


翔の顔見ただけで、もう胸がはち切れそう。

ただ会いに……なんてやっぱり上手く言えなくて、とっさに翔の大好物を詰めたお弁当箱を差し出す。


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