サプライズ★フィナーレ
薄明かりの廊下に二人きり……
まるで世界中に私達しかいない……
そう思うほど静まり返っている。


「お前、意味わかって言ってんの?」


翔の眉をひそめての低い声に、一瞬迷いが飛び出すけれど、すぐにそれを押し返しコクンと控えめに頷いてみせた。

けれども翔の怖いほど真っ直ぐな瞳から、ふいにそらし、俯いたままショルダーバッグの紐を意味なく両手で握り締める。


「一時の感情で流されたら後悔する。お前らしくもない」


そうかもね。

でも恋愛に冷めてるって言われてきた私に、翔だけが起こせる奇跡……
その奇跡に、今はただ流されてみたい。

例え後悔したとしても、今どうしても翔に抱き締めてほしい。

……違う。


「後悔なんてしない。だって翔だから……ずっとずっと翔だけ……。私が、未経験なのも翔のせいなん……」


ドサッ! という音と共に、やっと待ち焦がれていた腕の中に閉じ込められた。

そしてすぐに息苦しくなりそうなほど喜びが胸を支配し、翔の熱く燃え上がる体に、私の膨らみが、痛いほど押し付けられた。
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