サプライズ★フィナーレ
翔は、私の頭に頬を当てながら、私の頼りない体に更に強く腕を絡める。

そして限りなく柔らかな声で私を呼び、見上げた瞬間に軽く口づけを交わすと、泣きそうな表情で微笑んでくれる。


「……愛してる」


そして熱のこもる唇で、私のわずかに開いた唇に繰り返し優しく触れてくる。

唇が、こんなにも敏感に感じるのは、翔だけ……kissで私の世界が、変わり行くなんて不思議。

それは、悔しいけど翔だけが起こせる奇跡。

これほどまでに誰かの唇が、欲しくて堪らないのも初めて。

ただ今は、この甘さに全身全霊酔いしれていたい。


「私も……」


ほんの隙を狙って魂からの想いを囁くと、またすぐに重ねられた唇は、少し強引に左右に振られ私の内を探り出した。

それと同時にエレベーターの到着音が、静まり返ったオフィスに響き渡るから、お互い無意識に少しだけ距離を置き視線を向けると、開かれた扉の先から、また嶋崎あゆなが現れただった。
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