サプライズ★フィナーレ
彼女は、このフロアに降りるとすぐ私達に気付き、驚き眼で立ち止まった。

なぜこんな時間に?

不安にかられ翔を見上げると、翔はチラッと私を見て"心配するな"と、いうように頭に手をのせて一歩前に踏み出す。


「こんな時間に、またどうされました?」


彼女は、立ち尽くしたまま言葉が出てこないといった様子。

そして翔のやや冷ややかであろう視線から目をそらし、その大きすぎるほどの美しい瞳に妬み……ううん、敵意とも取れる感情をのせて一瞬私を見た。

私は、同時に身震いしそうになるけれど、翔がさりげなく横に動き、彼女から私を遮ってくれる。


「イメージモデルの件は、何度もお断りしましたよね。あなたのような人気アーティストの方に気に入って頂けてるのは、大変光栄に思っております。でも僕以上に朝比奈の方が、あなたの魅力を最大限に引き出せると思いますよ」


口調は穏やかでも、遠回しに彼女自身を拒否しているように感じられる。

普段女性に超八方美人の翔にしては、珍しい。

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