サプライズ★フィナーレ
「大丈夫か? ……はぁ……」


翔の安堵の声に耳元をくすぐられ、カッとした私は、慌てて身を起こそうとするけれど、上手く力が入らない。

なぜか翔といると、ハプニング率が高い。

これだから外では、会いたくないのに。

翔は、そんな私の心中など察するはずもなく、腕に力を込め軽々と私を抱き上げるから、周囲から悲鳴に似た声が、聞こえてきた。


「……下、下ろして!」


「Hey! 翔。カッケー! 痺れる~。俺に代わって~」


私の上ずった声は、冷やかし声に欠き消され、翔の耳に届かないよう。


「うるせ! 痺れて倒れな」


翔は、広々とした玄関フロアで注目を浴びながらも、余裕の笑みでアトリエスタッフの声をかわし、入口横の黒いレザーの椅子に私を運んで行った。

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