サプライズ★フィナーレ
……確信した。

彼女が、イタリアにいた時からずっと翔を好きだったと。

翼は、二人がただ同じ日本人で知り合い程度と言ってたけれど、絶対に違う。

それどころか、深い関係だったと疑いたくなるほどに。

お願い……翔、何か言って。

このみぞおちにある、吐き気がしそうなほど重苦しい真っ黒い塊を、消し去ってほしい。

でもそれは、彼女と深い関係ではないと私が確信を得る以外、きっとどうしようも出来ない。

翔の言葉だけでは、決して信じられやしない。


「翔……イタリアで、あの人と付き合って」


「ない。ただ付き合ってとは、言われてた。でもずっと断ってた」


翔は、また話を遮りキッパリ否定した。

その強く真っ直ぐ私を見つめる瞳に安心するけれど、不安を完全に消し去ることは出来ない。

彼女が、このまま諦めるとは思えないから。
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