サプライズ★フィナーレ
やっぱり翔……あ、翔輝君が教えてくれたのは、ここへの時間だったんだ。


「お帰りなさい……来てくれたんだ」


……会いたかった。

顔見ただけで、もう胸がいっぱい。


「話したら、すぐ帰る」


でも翔は、冷たい態度で私を見下ろすから、大きな不安が胸を締め付ける。

お願い……そんな目で見ないで……。


「翼に聞いた。俺らが同意すれば、トレード成立だって? 面白いじゃん……望みどおり同意してやる」


「あれは、冗談で」


「ふざけんなっ!! ……翔輝にも聞いた。俺より幸せにするってさ。……お幸せに」


「翔!」


早足でこの場から去ろうとする翔の右腕を必死に掴むと、体中を怒りの炎でまといながら思い切り振り払われ、床に勢いよく倒れてしまった。

翔は、涙を溢れさせ、すがるように見上げる私を、しばらく悲痛な顔で見下ろした後、耐えられないという顔をして歩き出す。

嫌……行かないで……翔っ……。


「嫌っ!! 翔っ!」


一心不乱の呼び掛けも虚しく、翔は冷たく背中を向けたまま部屋から出て行ってしまった。
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